そのサイトの内容は、事実に基づくものですか?

医療広告ガイドラインの「第1 広告規制の趣旨」「第2 広告規制の対象範囲」を見てきました。

「第1 広告規制の趣旨」はこちら
自由診療するなら医療広告ガイドラインを読め! 「第2 広告規制の対象範囲」は2回に分けて解説いたしました。
紹介患者から言わて作ったHPだから広告ではない?バカも休み休み言ってくれ 完璧なインプラント・インプラントセンターというドメインってどうよ?

 

さて、今回と次回は、「そのインプラントは、ストローマン製ですか?」でお馴染み

看板で有名な歯科医院のサイト(新サイト旧サイト)などを見ながら、医療広告ガイドライン「第3 禁止される広告について」を読んでいきたいと思います。

 

第3の構成

第3は、以下のような構成になっています。(1)〜(8)までが例示になっており、かなり読みやすいものとなっています。

第3 禁止される広告について
1 禁止の対象となる広告の内容
(1) 広告が可能とされていない事項の広告
(2) 内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
(3) 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告)
(4) 誇大な広告(誇大広告)
(5) 患者等の主観に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談
(6) 治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等
(7) 公序良俗に反する内容の広告
(8) その他

 

禁止される広告の概要を読む

「1 禁止の対象となる広告の内容」には、第3で禁止されている広告についての医療法(医療広告ガイドラインでは「法」と書いています)の根拠条文とその内容の概要が明記されています。では、読んでみましょう。重要なポイントは赤字にしました。

1 禁止の対象となる広告の内容
法第6条の5第1項の規定により、患者等に著しく事実に相違する情報を与え、適切な受診機会を喪失したり、不適切な医療を受けさせるおそれがあることから、内容が虚偽にわたる広告は、罰則付きで禁じられている。
同様に、同条第2項の規定により、患者等に対して医療に関する適切な選択に関し必要な基準として、いわゆる比較優良広告誇大広告の他、公序良俗に反する内容の広告が禁止されている。また、省令で広告の基準が定められ、当該基準に適合しなければならないこととされている。広告の基準としては、患者等の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告及び治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前後の写真等の広告が禁止されるものである。
さらに、同条第3項の規定により、患者等による医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合として省令で定める場合(第4参照)を除いては、広告可能な事項が限定されており、広告可能な事項以外の広告は禁じられている。

医療法第6条の5第1項から第3項までについては、当サイトでも紹介したことがあります。
そもそも医療に関する広告をして良い内容ってご存知ですか?

ただ、わざわざ条文を読まずとも医療広告ガイドラインのこの箇所だけを見れば、① 虚偽の広告、②比較優良広告、③誇大広告、④公序良俗に反する内容の広告、⑤患者の治療の内容又は効果に関する体験談、⑥Before/After写真が禁止事項に該当し、また、広告可能事項として紹介されているもの以外は基本禁止ということがわかります。再び第3の構成をご覧いただきたいのですが、ここで挙げた①〜⑥に一部内容を追加して、具体例付きで解説しているのが(1)〜(8)となります。

では、(1)〜(8)をみていきましょう。なお、今回は(3)までです。

 

インプラント専門などはいかにも診療科名を掲げるのはNGなのよ

(1)は原則論をまた掲げています。広告可能なもの以外はNGよということで、具体例もあげています。

(1) 広告が可能とされていない事項の広告
法第6条の5第3項に「次に掲げる事項以外の広告がされても医療を受ける者による医療に関する適切な選択が阻害されるおそれが少ない場合として厚生労働省令で定める場合を除いては、次に掲げる事項以外の広告をしてはならない。」と規定されているように、医療に関する広告は、患者の治療選択等に資する情報として、法又は広告告示により広告可能とされた事項を除いては、原則、広告が禁じられているものであること。
【具体例】
・ 専門外来
→専門外来については、広告が可能な診療科名と誤認を与える事項であり、広告可能な事項ではない。(ただし、保険診療や健康診査等の広告可能な範囲であれば、例えば、「糖尿病」、「花粉症」、「乳腺検査」等の特定の治療や検査を外来の患者に実施する旨の広告は可能であり、専門外来に相当する内容を一律に禁止するものではない。)
・ 死亡率、術後生存率等
→医療の提供の結果としては、医療機能情報提供制度において報告が義務付けられた事項以外は、対象となった患者の状態等による影響も大きく、適切な選択に資する情報であるとの評価がなされる段階にはないことから、広告可能な事項ではない。
・ 未承認医薬品(海外の医薬品やいわゆる健康食品等)による治療の内容
→治療の方法については、広告告示で認められた保険診療で可能なものや医薬品医療機器等法で承認された医薬品による治療等に限定されており、未承認医薬品による治療は、広告可能な事項ではない。

・専門外来
専門外来がNGですから、インプラント専門歯科とかインプラント総合歯科とかもダメでしょうね。ちょっと探してみたらやはりやっている歯科医院を見つけましたが…

千葉インプラントセンター船橋(株)

インプラント専門外来という文字がまず目に入ってきましたがNGでしょうね…千葉インプラントセンター船橋というのも(株)とつけて会社組織だからと言いたいようですが、医療法は「何人もと広告については従うように」と規定しているので、法人だろうが何だろうがNGはNGでしょう。ついでに、サイトをよ〜〜くみたらおまけのように限定解除要件をつけていますが、ちょっと法の趣旨とは違いますよね?

 

・死亡率・術後生存率等
歯科でいうとインプラントの成功率とか失敗率とかは広告可能な事項ではないということでしょうか?

きぬた歯科さんでもこのように掲載されています。

クリックすると画像が拡大します

他の医院でも成功率に関してはかなり見かけますが…報告が義務付けられているとは思えませんからねぇ〜。埋入本数や失敗本数などの情報と共に失敗率とか教えてくださっている歯科医院がごく稀にありますが、一般人としては歯科の自由診療では欲しい情報といえば情報です…このあたりは要検討課題に感じます。

 

論点から外れるのですが、上の画像で…

患者さんが成功率を求め、信頼性を最重視するのは当然のことです。その要望に応えるために安全性と耐久性が十分実証されているインプラントシステムを採用することが何よりも重要です。この条件を完璧にクリアしているインプラントシステムは、「スイスのストローマン社」と「スウェーデンのブローネマルク社」の製品のみです。

という記載があるのですが、安全性と耐久性の根拠を提示してくれと言いたい。基本的にきぬた歯科のサイトの内容は、言いたい放題言うだけで、裏付けとなる根拠がないことが多いので、ちょっとイラっときます。

 

行政から認可を受けているって本当なの?

きぬた歯科のサイトを見ると…

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このように行政から認可を受けたという内容の文言が多数でてくるのですが…①行政とはどの行政なのか?②何に関する認可なのか?が全くわかりません。仮に事実であるならば、きぬた歯科のサイトの傾向からして写真付きでデカデカと載せると思うのですが、どのページをみてもそんなものはない!

事実であるなら、サイトに掲載してはどうかと思うのですが、どうなんでしょうかね?ということで、(2)は内容が虚偽にわたる広告は禁止されているということの例示です。

(2) 内容が虚偽にわたる広告(虚偽広告)
法第6条の5第1項に規定する「虚偽の広告をしてはならない」とは、広告に示された内容が虚偽である場合、患者等に著しく事実に相違する情報を与え、適切な受診機会を喪失したり、不適切な医療を受けるおそれがあることから、罰則付きで禁じられているものであること。
【具体例】
・ 絶対安全な手術です!
・ 「どんなに難しい症例でも必ず成功します」
→絶対安全な手術等は、医学上あり得ないので、虚偽広告として扱うこと。
・ 厚生労働省の認可した○○専門医
→専門医の資格認定は、学会が実施するものであり、厚生労働省が認可した資格ではない。
・ 加工・修正した術前術後の写真等の掲載
→あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真等については、虚偽広告として取り扱うべきであること。
・ 「一日で全ての治療が終了します」(治療後の定期的な処置等が必要な場合)
→治療後の定期的な処置等が必要であるにもかかわらず、全ての治療が一日で終了するといった内容の表現を掲載している場合には、内容が虚偽広告として取り扱うべきであること。
・ 「○%の満足度」(根拠・調査方法の提示がないもの)
データの根拠(具体的な調査の方法等)を明確にせず、データの結果と考えられるもののみを示すものについては、虚偽広告として取り扱うべきであること。
また、非常に限られた患者等を対象に実施された調査や謝金を支払うことにより意図的に誘導された調査の結果など、公正なデータといえないものについても、虚偽にわたるものとして取り扱うべきであること。
・ 「当院は、○○研究所を併設しています」(研究の実態がないもの)
法第 42 条の規定に基づき、当該医療機関を開設する医療法人の定款等において同条第2号に掲げる医学又は歯学に関する研究所の設置を行う旨の定めがある場合等においても、研究している実態がない場合には、虚偽広告として取り扱うべきであること。

◯%の満足度という表示さえ、具体的なデータや根拠がないと虚偽なのですから、「行政から認可を受けた」という表現については、絶対に具体的な根拠を提示してもらいたい内容だと考えます。しかも、他の医院はダメで自分はOKなどと語っていますし…本当にきぬた歯科には提示してもらいたい。

また、例示されている◯◯研究所に関してといえば、某インプラントセンターが医療広告ガイドラインに基づく指導を受けた後に、某インプラント研究所に変わっていましたが、研究とかしているのでしょうかね。。。有名な歯科医師らしいT先生が悪徳歯科医師と呼んでいるのはこういう連中なのでしょうね。せっかくなのでT先生には具体名をあげて欲しいものです。

 

著名人との関連性を強調するのはNGなんだけど

きぬた歯科のサイトのTOP Page下段に、TVに出ました!などいろいろ掲載されています。中にはこんなのも…

芸能に興味はないのですが、このところゴシップで見かけるこの人も治療を受けたのだとか。。。そんな著名人も来院するきぬた歯科さんとしてはうちは優れている!と言いたいのでしょうが、比較優良広告は医療法及び医療広告ガイドラインで禁止されています。では、ガイドラインの本文を読んでいきましょう。

(3) 他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告(比較優良広告)
法第6条の5第2項第1号に規定する「他の病院又は診療所と比較して優良である旨の広告をしないこと」とは、特定又は不特定の他の医療機関(複数の場合を含む。)と自らを比較の対象とし、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、自らの病院等が他の医療機関よりも優良である旨を広告することを意味するものであり、医療に関する広告としては認められないものであること。
これは、事実であったとしても、優秀性について、著しく誤認を与えるおそれがあるために禁止されるものであり、例えば、「日本一」、「№1」、「最高」等の最上級の表現その他優秀性について著しく誤認を与える表現は、客観的な事実であったとしても、禁止される表現に該当すること。
ただし、最上級を意味する表現その他優秀性について著しく誤認を与える表現を除き、必ずしも客観的な事実の記載を妨げるものではないが、求められれば内容に係る裏付けとなる合理的な根拠を示し、客観的に実証できる必要がある。調査結果等の引用による広告については、出典、調査の実施主体、調査の範囲、実施時期等を併記する必要がある。
また、著名人との関連性を強調するなど、患者等に対して他の医療機関より著しく優れているとの誤認を与えるおそれがある表現は、患者等を不当に誘引するおそれがあることから、比較優良広告として取り扱うこと。
【具体例】
・ 肝臓がんの治療では、日本有数の実績を有する病院です。
・ 当院は県内一の医師数を誇ります。
・ 本グループは全国に展開し、最高の医療を広く国民に提供しております。
・ 「芸能プロダクションと提携しています」
・ 「著名人も○○医師を推薦しています」
・ 著名人も当院で治療を受けております。

ということで、上で紹介した画像部分などは明らかにガイドライン違反ということになります。芸能人が勝手にツイートする分には良いのかもしれませんが、それをサイトに掲載するのはNG。

仮に芸能人が金をもらっていたら、ツイートもNGでしょうね。この内容では医療広告ガイドライン違反ですから。

 

ところで、この比較優良広告ですが、個人的には以下の箇所がものすごく気になっています。

ただし、最上級を意味する表現その他優秀性について著しく誤認を与える表現を除き、必ずしも客観的な事実の記載を妨げるものではないが、求められれば内容に係る裏付けとなる合理的な根拠を示し、客観的に実証できる必要がある。調査結果等の引用による広告については、出典、調査の実施主体、調査の範囲、実施時期等を併記する必要がある。

但し書きで、”最上級を意味する表現その他優秀性について著しく誤認を与える表現を除き、必ずしも客観的な事実の記載を妨げるものではない”とありますが、“著しく誤認を与えない表現”ってどんな表現なのか…優秀性について著しく誤認を与えなければ最上級を使ってもOKということですので、線引きが難しいのではないかと。今後様々な例が出てこないと結論を出すのが難しい部分だと思います。ものすごく極端な例を挙げますと..

クリックすると拡大します

たとえば、埼玉県の数多くのインプラント埋入を行なった実績があるという歯科医院さんのサイト

具体例を見るとどうみてもNGですが、埼玉で1位と言われても…と一部の人間にとってはどうでも良いレベルのことで、優位性について著しい誤認を与える表現かと言われると…誤認するどころかそんなこと誇るなよと失笑してしまうかもしれません。

これはNGとされるものを極論として例示したもので、実際に起こる問題はもっと微妙なレベルのはずです。なので、比較優良広告については、実例を積み重ねていき、役所がQAを追加していくことを期待したい箇所です。

 

ちなみに、ご紹介した医院では、高級外車での帰宅サービスを行なっていました。今はやっていません!

クリックすると拡大します

邪推すると、とりあえず事業で使っていると税務調査で言い張るためにサイトでこのサービスを見せておいて、税務調査が終わったからサービスをやめてしまい高級外車を自家用車として使おうと思っていたのでは?笑

 

次回は、(4)誇大な広告(誇大広告)などをみていくことに。

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